Art Salonでは、創業1906年より収集している中から、厳選した図録をご紹介していきます。
今回は「高麗仏画 わが国に請来された隣国の金色の仏たち」の図録をご紹介します。
高麗仏画
わが国に請来された隣国の金色の仏たち
大和文華館
1978年10月18日〜11月19日
隣国の高麗時代に麗しい金色で描かれた仏画、高麗仏画を広く一般に知らしめた特別展の展覧会図録。
高麗仏画は早くに母国で失われ、遅くても江戸時代初期までに日本国内に入ってきている。
欧米のコレクションも、元は日本へ伝来した作品が近代に入り海を渡った物である。
朝鮮半島では、近年になって積極的にコレクションを増やし里帰りさせている。
これらの作品は、そのほとんどがこれまで中国・元時代の作とされているか、中国・宋時代の画家と記され伝えられてきた。
なぜなら、これまで朝鮮画に対するイメージは李朝の作品の様な、「単純で大らかな庶民的な感覚を持った作品」といった印象を持っていたからである。
逆に、高麗仏画は繊細巧緻な技巧が駆使されており、何か貴族的な気品と洗練された美しさが表わされている。
この展覧会図録では、高麗仏画と装飾経をかなりの点数掲載している。
図版は見にくいが、資料としてこれだけの点数を一気に見ることができるのはありがたい。
高麗仏画を勉強するにあたって、はじめに手に入れておきたい図録である。