田村大、ライブペインティング@Sneaker Con

作家の話①

赤、オレンジ、グレー、黒──たった4本のマーカーで、真っ白な紙の上に、ポップでかわいい世界が、画面いっぱいにどんどん展開していきます。
描いているのは、アーティストの田村大さん。去る11月23日と11月24日の2日間、大阪・南港のインテックスで、「Sneaker Con(スニーカーコン)」が開催され、田村さんが招待アーティストとしてライブペインティングを披露したのです。

▲会場では、作品の高精細プリントによるキャンヴァスも人気でした。
Sneaker Conはこれまで、ニューヨーク、ロンドン、上海、シドニーなど、世界各地の都市で開催され、累計100万人以上の参加者を動員してききた、世界最大級のスニーカーイベント。田村大さんのライブペインティングにあわせて、松本松栄堂もブースを出店し、人気バスケットボールプレイヤーやレア・スニーカーを描いた田村さんのオリジナル作品のほか、田村大×松本松栄堂のコラボTシャツの販売などを展開しました。

▲トラヴィス・スコットの等身大パネルの絵も田村大さん画。田村さんが着ているのが、田村大×松本松栄堂コラボT。
中でも会場に集まった人たちの注目を集めたのは、田村さんのライブペインティングです。Seneker Conの会場なので、来場者はもちろん筋金入りのスニーカーヘッズ(=熱狂的なスニーカーファンのこと)。スニーカー目当てでのご来場にもかかわらず、田村さんが大画面に軽快にペンを走らせていく様子にたくさんの方々が集まり、中にはじっくり見入ってくださる方も多くいらっしゃいました。

▲「Sneaker Con」1日目の朝。オープン前、人気もまばらな会場で早速、描き始める田村さん。
田村さんは、バスケットボールの選手を描いて、一躍、有名になったアーティストです。ペンとカラーマーカーで描く、動感あふれるスタイリッシュな世界は、ステフィン・カーリーやシャキール・オニールらNBAのスター選手からも高い評価を受けています。
NBAのスーパースターを描き続ける理由は、「大人のヒーローを描きたい」から。スーパーマンやアベンジャーズなど、「大人」のヒーローが人気を集めるアメリカとちがって、マンガをはじめとする日本人のクリエーションでは多くの人気作品で「子ども」が主人公。「スポーツ選手をかっこよく描くことで、子どもたちに憧れのヒーロー像を持って、大人になることに希望を抱いてほしんです」と田村さんは言います。

▲1日目でここまで描けました。赤でぬったSneaker Conの文字が目立ちます!
アーティストとして独立する以前は、カリカチュアリストとして約3万人の似顔絵を描いたという田村さん。人前で描くことが仕事だったわけですが、自由なテーマで作品を制作するライブペインティングは今回が初めてです。
テーマは「大阪とスニーカー、それを取り巻くファッションとカルチャーを一枚の絵にしてみました」と話します。
画面には、通天閣やビリケンさん、お好み焼きやたこ焼きといった大阪のアイコンのほか、レア・スニーカーやSneaker Conから着想を得たポップなキャラクターがぎっしり、みっしり、生き生きと描かれていきました。
4色で描いたのは「東京からの荷物を減らしたかったから」と笑って話す田村さんですが、色数を絞ることで、よりスタイリッシュでポップな雰囲気が生まれているのは、もちろん狙いでしょう。いつもは0.03mmと極めて細いペンで描いていますが、今回はあえて太いペンを選んでタッチを変えています。
Instagramのフォロワーは10万人超。その95%が外国の方で、その約半数がアメリカの方という田村さんの作品は、「アメリカ人が見ると〈ジャパニーズマンガ〉、日本人が見れば〈アメコミ〉」に見えるというのが面白いところ。グラフィティのようなアメリカのストリートアートの雰囲気と、日本らしい「かわいさ」を備えた今回の作風も、幅広い世界観で展開するアーティスト田村大の新たなスタイルとして、人気を呼びそうです。

▲丸二日間かけて完成しました!

構成・文:久保恵子